ジャズブルースには大きく分けて「メジャーブルース」と「マイナーブルース」の2種類があり、さらにソロの手法には各々に「ブルース的アプローチ」と「ビバップ的アプローチ」があります。
「ブルース的アプローチ」とはブルーノートスケールを主体としたロックブルース的な考え方で、「ビバップ的アプローチ」とはドミナントモーションのタイミングでオルタードテンションを弾くジャズスタンダード的な考え方です。
そこで今回はメジャー/マイナー2種類のブルースと、またその各々での「ブルース的アプローチ」と「ビバップ的アプローチ」のソロの違いを、前編と後編に分けてご紹介していきます。
初回の前編は “ ある理由 ” があって、メジャーブルースではなく「マイナーブルース」からです。
今回はこのコード進行を題材にして話を進めていきます。
ブルーノートスケールには様々な解釈があり、この指板表に「D音=9th」と「A音=13th」を加えるパターンもありますが、後にご紹介する「ビバップ的アプローチ」との違いを明確にするために、よりペンタトニック的なノートのみに限定をした「ブルーノートペンタトニック」としました。
※厳密には、指板表における「E音=♮3rd」ではなく「Eb音=♭3rd」の方をブルーノートと呼びます。
「ブルース的アプローチ」とはブルーノートスケールを主体としたロックブルース的な考え方で、「ビバップ的アプローチ」とはドミナントモーションのタイミングでオルタードテンションを弾くジャズスタンダード的な考え方です。
そこで今回はメジャー/マイナー2種類のブルースと、またその各々での「ブルース的アプローチ」と「ビバップ的アプローチ」のソロの違いを、前編と後編に分けてご紹介していきます。
初回の前編は “ ある理由 ” があって、メジャーブルースではなく「マイナーブルース」からです。
🐢マイナーブルースのコード進行
こちらのコード進行は、Key=Cm(=Eb)のマイナーブルース12小節です。今回はこのコード進行を題材にして話を進めていきます。
🐢ブルース的アプローチ
この指板表は、Cマイナーペンタトニックに「ブルーノート(※)」を加えたものです。ブルーノートスケールには様々な解釈があり、この指板表に「D音=9th」と「A音=13th」を加えるパターンもありますが、後にご紹介する「ビバップ的アプローチ」との違いを明確にするために、よりペンタトニック的なノートのみに限定をした「ブルーノートペンタトニック」としました。
※厳密には、指板表における「E音=♮3rd」ではなく「Eb音=♭3rd」の方をブルーノートと呼びます。
実際の演奏例
コード進行がジャズ的に切り替わって行くのに対して、ソロフレーズは先程のブルーノートペンタ「一発のみ」で弾かれています。和声学的にはコードに合わない音が随所で弾かれていても、我々の耳はその合わない音こそを「ブルース」として認識します。
つまりは12小節間を何も臆せず「Cブルーノートペンタ」だけで弾き切れば、それで良いのです。
🐢ビバップ的アプローチ
こちらはコード進行の流れを常に意識する手法であり、この際ブルースであることは一旦忘れて、あたかもスタンダード曲かのように、ただ決められたコードに対して適切な音を弾いていきます。まずはCマイナーブルース12小節の各コードを、Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴの「4つのコード機能」で分類します。この分類の方法については、過去の記事(前編/後編)で詳しくご紹介しています。
■1-4小節目
ブルースの2小節目に度々登場するサブドミナントは、1小節目からのドミナントモーションもなく一瞬だけ顔を出す程度なので、ソロを弾く側としてはFm7を無視してしまい、1-3小節目の全体をCm7の「トニック」として扱ってしまうのが無難です。
続く4小節目は、まずC7(b9)が次の5小節目のFm7にドミナントモーションをする「サブドミナントへのドミナント」です。そしてそのC7(b9)を “ マイナーⅡ-Ⅴの形 ” に無理やり分割して生まれたのがGm7(b5)と解釈できます。つまり4小節目の本質は「サブドミナントへのドミナント」です。
■5-8小節目
5-6小節目のFm7は「サブドミナント」、7小節目のCm7は「トニック」です。
続く8小節目は、まずEb7が次の9小節目のAb7にドミナントモーションをする「サブドミナントへのドミナント」で、そのEb7を “ Ⅱ-Ⅴの形 ” に分割して生まれたのがBbm6と解釈できます。つまりこの場合も、8小節目の本質は「サブドミナントへのドミナント」です。
■9-12小節目
9小節目のAb7は、AbM7が7thコードに変化をした “ ブルース風味 ” の「サブドミナント」であり、10小節目のG7(b9)は「トニックへのドミナント」です。
11-12小節目はマイナーKeyにおける “ ターンアラウンド ” ですが、ウォーキングの記事でもお伝えした通り、弾き方は比較的自由です。スケール一発弾きでも良いのですが、今回は前半11小節目を「トニック」、後半12小節目を冒頭の1小節目につなぐ「トニックへのドミナント」としました。
実際の演奏例
クロマチックはあえて使用せず、スケールの構成音のみで構築されています。ドミナントの部分で使用されている「オルタードP5thスケール」の詳細については、こちらの記事をご参照ください。
先程の「ブルース的アプローチ」と比較をすると、ブルース独特の雰囲気が薄くなった印象です。
🐢2つのアプローチを「組み合わせる」
Cマイナーブルースの12小節を、各セクションごとに「ブルース的」と「ビバップ的」に切り分けて弾いてみます。2つを組み合わせることは必須ではありませんが、表現はより豊かになります。
実際の演奏例
1-7小節目は全体を「ブルース的」に基本設定しつつ、4-5小節目のドミナントモーション部分のみが「ビバップ的」に変化しています。面倒ならば「ブルース的」をそのまま続けてしまうのも可。
また、6小節目は思い出したかのようにCブルーノートペンタに戻っていますが、逆に前の小節から「ビバップ的」を引き継いで、そのままFドリアンを弾き続けることも可能です。
8小節目はブルースの山場である9-10小節目に突入するためのドミナントモーション。タイミングとしては、この辺りが「ビバップ的」に切り替えるチャンスかも知れません。
9-12小節目は全体を「ビバップ的」に設定しつつも、コード機能の振り分けが先程とは少し異なります。こちらでは9-10小節目を「サブドミナント」、11-12小節目を「トニックへのドミナント」にすることにより、4小節間の全体を大きく “ Ⅱ-Ⅴの機能 ” として扱っています。
この拡大解釈は、コード進行の「縦のハーモニー」よりも「横のつながり」を意識したものです。目的地まで綺麗につながりさえすれば、瞬間的なハーモニーは多少無視しても大丈夫なのです。
ついでにもう1つの「組み合わせ例」
この12小節は、最初にご紹介した2つのアプローチ音源を、前半と後半でつなぎ合せたものです。前半の6小節が「ビバップ的アプローチ」で、後半の6小節が「ブルース的アプローチ」です。
後半のドミナントモーションでゴチャゴチャした部分を、ブルーノートペンタ「一発のみ」で弾く手法は、とても簡単でありながら効果絶大です。これぞ “ 一発弾きの使いどころ ” とも言えます。
🐢マイナスワン(カラオケ)
こちらは、Cマイナーブルース12小節を2回繰り返したマイナスワン音源です。コード譜には「ビバップ的アプローチ」で使用したガイドが表記されていますが、それを全て無視して、Cブルーノートペンタ「一発のみ」で弾く手法が「ブルース的アプローチ」でした。
また「ビバップ的アプローチ」には、9-12小節目を大きく “ Ⅱ-Ⅴの機能 ” として拡大解釈する方法もありました。その他にも、7-10小節目をCブルーノートペンタ、11-12小節目をGオルタードP5thとする組み合わせも、使い勝手が良いので試してみてください。
🐢最後に
今回はジャズブルースにおけるアドリブソロの考え方「マイナーブルース編」をご紹介しました。冒頭でもお伝えした通り “ ある理由 ” があって、後回しになった「メジャーブルース編」を次回にご紹介します。先にマイナーブルース編から取り上げたことには、大きな意味があります。
ジャズは「自由な音楽」なので、こんなのもアリ(🐜)じゃないですかね(❗❓)
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