ブルースやスタンダード曲などのコード進行には、最後の2小節くらいに循環コードを配置して、冒頭の1小節目のコードに戻るための「ターンアラウンド」と呼ばれるセクションがあります。
循環コードは「ⅠM7-Ⅵ7(b9)-Ⅱm7-Ⅴ7」などが一般的ですが、実際は必ずしもそれとは限らず、バリエーションも多種多様に存在するので、その全てに細かく対応するのはとても面倒です。
しかし考えてみれば「ターンアラウンド」の目的はただ1つしかありません。
それは “ 1小節目のコードに綺麗に戻る ” ことです。
電車に乗ろうがタクシーに乗ろうが、時間内に目的地に着きさえすれば結果は同じであるように、ジャズ全般においても「目的が同じ」であれば「手段」は何でも構わないという解釈があります。
つまり重要なのはハーモニーよりも、配置されたコード進行の「意図」であるわけです。
それを今回の循環コードである「ターンアラウンド」に当てはめると、ルートから弾き始めて最後も同じルートに着地をするので「ルート→ルートの法則」が成り立ちます。
つまりは、循環コード部分も「一発コード」と捉えてしまい、1つのスケールだけで弾いてしまうわけですが、循環コードにも様々なタイプのコードを使用した複数のパターンが存在します。
まず始めに「メジャーキー」における、そのいくつかの循環コードのパターンを見ていきます。
コード譜では省略されていますが、これらは最後にトニックであるCM7につながるイメージです。
①CM7-A7(b9)-Dm7-G7
こちらは普通のⅠ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴです。
A7(b9)がAm7になるパターンもありますが、その際にはより一発ものに近いといえます。
②C7-A7(b9)-D7-G7
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴが全て7thコードになるパターンで、ブルース等に多い形です。
③Em7-Eb7-Dm7-Db7
代理コードを用いたパターンで、ルートが半音ずつ下がって行く形です。
Em7は事実上のCM9で、Eb7とDb7はそれぞれA7とG7の裏コードです。
④CM7-C7-FM7-Fm7
FM7は事実上のDm9で、そこにドミナントモーションをするのがC7です。
最後のFm7はサブドミナントマイナーで、ドミナントに近い役割を担っています。
以上が、4つの循環コードの簡単な解説でしたが、今回の「ルート→ルートの法則」を使用するに際しては、実は「どうでも良い話」だったりもします。
瞬間的にはコードに合わない音も多く弾かれていますが、違和感はあまり無かったかと思います。その理由としては、全てに「トニックからトニックへ戻る」という共通の目的があるからです。
先程のメジャースケールに比べると、こちらは少し「ブルース的」な雰囲気を感じさせます。
そして先程と同じく「コードに合わない音」も瞬間的に弾かれています。
「循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
音源においては、ルートからオクターブ上のルートに辿り着く寸前で、元の音程のルートに戻ってしまっていますが、実際にはオクターブ上のルートに着地するイメージです。
この「クロマチック埋め」は、ターンアラウンドにおいてはとても有効な手段で、クロマチックが元々持つコードに対するアウト感が、どんな循環コードをも「それらしく」聴かせてくれます。
他のクロマチックラインを構築する際も、意識すべきは「ルートからルートに戻る」の1点です。
こちらもコード譜では省略されていますが、最後にトニックであるAm7につながるイメージです。
①Am7-F#m7(b5)-Bm7(b5)-E7(b9)
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴを作るにもマイナーKeyに「Ⅵ」が存在しないため、bⅥM7のルートだけを半音上げてⅥm7(b5)を作り出したパターンです。Key=AmだとFM7のルートを半音上げてF#m7(b5)です。
②Am7-C7-FM7-E7(#9)
サブドミナント部分がBm7(b5)からFM7に替わり、そこにドミナントモーションするのがC7です。
サブドミンナトFM7に続くドミナントE7は、テンションを(#9)にして少しお洒落な雰囲気です。
③Am7-A7(b9)-Dm7-E7(b9)
サブドミナント部分がBm7(b5)からDm7に替わり、そこにドミナントモーションするのがA7(b9)。
④Am7-FM7-Bm7(b5)-Bb7
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴの「Ⅵ」が存在しないため、今度はbⅥであるFM7をそのまま使用したパターン。
最後のBb7はE7(b9)の裏コードです。
しかし、これらも「ルート→ルートの法則」を使用するに際しては「どうでも良い話」でした。
「マイナー循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
例のごとく「コードに合わない音」が弾かれていますが、目的が同じなので違和感はありません。
「マイナー循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
先程のマイナースケールに比べると、こちらは少し「バロック的」な雰囲気を感じさせます。
「マイナー循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
メジャークロマチックと同様に、こちらも最後はオクターブ上のルートに着地するイメージです。やはり、マイナー循環のターンアラウンドにおいても「クロマチック埋め」はとても有効です。
ジャズは「自由な音楽」なので、こんなのもアリ(🐜)じゃないですかね(❗❓)
循環コードは「ⅠM7-Ⅵ7(b9)-Ⅱm7-Ⅴ7」などが一般的ですが、実際は必ずしもそれとは限らず、バリエーションも多種多様に存在するので、その全てに細かく対応するのはとても面倒です。
しかし考えてみれば「ターンアラウンド」の目的はただ1つしかありません。
それは “ 1小節目のコードに綺麗に戻る ” ことです。
電車に乗ろうがタクシーに乗ろうが、時間内に目的地に着きさえすれば結果は同じであるように、ジャズ全般においても「目的が同じ」であれば「手段」は何でも構わないという解釈があります。
つまり重要なのはハーモニーよりも、配置されたコード進行の「意図」であるわけです。
🐢ルート→ルートの法則
過去に「ウォーキングベースでⅡ-Ⅴを弾く方法」でご紹介した「ルート→短7度の法則」ですが、これはⅡm7でⅡドリアンスケールをルートから弾き始めて、そのままⅡドリアンスケールの短7度の位置に弾き終えれば、それがⅡ-Ⅴ-Ⅰの着地点であるⅠM7のルートに辿り着くという話でした。それを今回の循環コードである「ターンアラウンド」に当てはめると、ルートから弾き始めて最後も同じルートに着地をするので「ルート→ルートの法則」が成り立ちます。
つまりは、循環コード部分も「一発コード」と捉えてしまい、1つのスケールだけで弾いてしまうわけですが、循環コードにも様々なタイプのコードを使用した複数のパターンが存在します。
まず始めに「メジャーキー」における、そのいくつかの循環コードのパターンを見ていきます。
🐢メジャーキーでのターンアラウンド
この4つ(左右上下)のコード進行は、Key=Cのターンアラウンドに用いられる循環コードの例です。コード譜では省略されていますが、これらは最後にトニックであるCM7につながるイメージです。
①CM7-A7(b9)-Dm7-G7
こちらは普通のⅠ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴです。
A7(b9)がAm7になるパターンもありますが、その際にはより一発ものに近いといえます。
②C7-A7(b9)-D7-G7
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴが全て7thコードになるパターンで、ブルース等に多い形です。
③Em7-Eb7-Dm7-Db7
代理コードを用いたパターンで、ルートが半音ずつ下がって行く形です。
Em7は事実上のCM9で、Eb7とDb7はそれぞれA7とG7の裏コードです。
④CM7-C7-FM7-Fm7
FM7は事実上のDm9で、そこにドミナントモーションをするのがC7です。
最後のFm7はサブドミナントマイナーで、ドミナントに近い役割を担っています。
以上が、4つの循環コードの簡単な解説でしたが、今回の「ルート→ルートの法則」を使用するに際しては、実は「どうでも良い話」だったりもします。
メジャースケール一発弾き
このベース譜はCメジャースケール(=Cイオニアン)のみを使用したもので、ルートから弾き始めて元の同じルートに戻ることだけを想定した、とても単純なウォーキングラインです。
このベースラインを先程の「4つの循環コード」に当てはめてみると、こんな響きになります。
瞬間的にはコードに合わない音も多く弾かれていますが、違和感はあまり無かったかと思います。その理由としては、全てに「トニックからトニックへ戻る」という共通の目的があるからです。
ミクソリディアン一発弾き
次はCミクソリディアンスケールを使用した、同じくルートからルートに戻るラインです。
「循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
先程のメジャースケールに比べると、こちらは少し「ブルース的」な雰囲気を感じさせます。
そして先程と同じく「コードに合わない音」も瞬間的に弾かれています。
クロマチックを使用
今度はCイオニアン、またはCミクソリディアン等を、クロマチックで埋めて弾くパターンです。「循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
音源においては、ルートからオクターブ上のルートに辿り着く寸前で、元の音程のルートに戻ってしまっていますが、実際にはオクターブ上のルートに着地するイメージです。
この「クロマチック埋め」は、ターンアラウンドにおいてはとても有効な手段で、クロマチックが元々持つコードに対するアウト感が、どんな循環コードをも「それらしく」聴かせてくれます。
他のクロマチックラインを構築する際も、意識すべきは「ルートからルートに戻る」の1点です。
🐢マイナーキーでのターンアラウンド
次の4つ(左右上下)のコード進行は、Key=Amのターンアラウンドに用いる循環コードの例です。こちらもコード譜では省略されていますが、最後にトニックであるAm7につながるイメージです。
①Am7-F#m7(b5)-Bm7(b5)-E7(b9)
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴを作るにもマイナーKeyに「Ⅵ」が存在しないため、bⅥM7のルートだけを半音上げてⅥm7(b5)を作り出したパターンです。Key=AmだとFM7のルートを半音上げてF#m7(b5)です。
②Am7-C7-FM7-E7(#9)
サブドミナント部分がBm7(b5)からFM7に替わり、そこにドミナントモーションするのがC7です。
サブドミンナトFM7に続くドミナントE7は、テンションを(#9)にして少しお洒落な雰囲気です。
③Am7-A7(b9)-Dm7-E7(b9)
サブドミナント部分がBm7(b5)からDm7に替わり、そこにドミナントモーションするのがA7(b9)。
④Am7-FM7-Bm7(b5)-Bb7
Ⅰ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴの「Ⅵ」が存在しないため、今度はbⅥであるFM7をそのまま使用したパターン。
最後のBb7はE7(b9)の裏コードです。
しかし、これらも「ルート→ルートの法則」を使用するに際しては「どうでも良い話」でした。
マイナースケール一発弾き
Aマイナースケール(=Aエオリアン)のみを使用した、ルートからルートに戻るだけのラインです。「マイナー循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
例のごとく「コードに合わない音」が弾かれていますが、目的が同じなので違和感はありません。
ハーモニックマイナー一発弾き
次はAハーモニックマイナースケールを使用した、ルートからルートに戻るラインです。「マイナー循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
先程のマイナースケールに比べると、こちらは少し「バロック的」な雰囲気を感じさせます。
クロマチックを使用
Aマイナースケールを、クロマチックで埋めて弾くパターンです。「マイナー循環コード」に当てはめてみると、こんな響きです。
メジャークロマチックと同様に、こちらも最後はオクターブ上のルートに着地するイメージです。やはり、マイナー循環のターンアラウンドにおいても「クロマチック埋め」はとても有効です。
🐢マイナスワン(カラオケ)
メジャー循環コード進行
マイナー循環コード進行
🐢最後に
今回は、ウォーキングベースでターンアラウンドを簡単に弾く「ルート→ルートの法則」をご紹介しました。クロマチックも積極的に使用して、様々な循環コードを「一発」で片付けましょう。ジャズは「自由な音楽」なので、こんなのもアリ(🐜)じゃないですかね(❗❓)
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