ウォーキングベースで簡単にクロマチックを使う方法 - BASSタートルズ -ベースライン構築ナビ-

ウォーキングベースで簡単にクロマチックを使う方法

迷子にならない
コードを元にウォーキングベースを構築する際に、まず骨組みとなるのがコードトーンやスケールノートであり、それらをつなぎ合せて穴埋めをするのが「クロマチックスケール」の役割です。

しかし適当にクロマチックスケールを弾いてしまうと、小節の頭に上手く着地ができなかったり、その時に弾いていたコードが判らなくなってしまう「迷子」のような状態に陥ることもあります。

そもそも、スケールの構成音たるものが無いに等しいクロマチックスケールを、コード進行として並べられた「構成音で成り立つコード」の中で使用をするのは、なかなか難しい話でもあります。

今回はそんなクロマチックスケールを、裏技っぽく簡単に使用してしまう方法をご紹介します。

🐢お出かけ範囲を決めれば「迷子」にならない

冒頭でもお伝えした通り、クロマチックスケールの最も怖いところは、コード進行の中で「迷子」になってしまうことです。やはり何にしても「着地の準備」がジャズにおいては重要になります。

まずは着地点を「ルート」に設定

この8小節は「D音」をルートにクロマチックを使いつつ、各小節の頭が必ず「元のルートD音」に戻るウォーキングラインです。
ベースTAB譜「ルートDのクロマチックスケール」
1-4小節目
3弦5フレット(D音)から、上下3フレットの移動のみで構成されたクロマチックラインで、弾き始めの「3弦5フレット」を常に意識しながら、お出かけ範囲を「上下3フレット以内」と決めました。

5-6小節目
3弦5フレットから、お出かけ範囲を「上下2フレット以内」と決めています。
こちらでも、弾き始めの「3弦5フレット=D音」だけを意識しています。

7-8小節目
3弦5フレットから、お出かけ範囲を「上下1フレット以内」と決めています。
範囲が狭くなると、ラインのバリエーションも少なくなります。


実際のコードでの使用例

先程の全クロマチックラインは、コードタイプがメジャーなのかマイナーなのかも判らない状況でした。なぜそれを指定しなかったかと言えば、実はルート以外は「どうでも良い」からなのです。

まずは「Dm7系一発ものコード」で、先程のクロマチックラインをお聴きください。

今度は「DM7系一発ものコード」で、同じラインをもう一度お聴きください。


着地点である「ルート」さえ綺麗に決まれば、意外とその間で弾かれているクロマチックノートはコードの響きを妨げません。これはクロマチックが持つ無調感による調性の麻痺かも知れません。


次は着地点を「完全5度」に設定

この8小節は「D音」をルートにクロマチックを使いつつ、偶数小節の頭で「完全5度(P5th)A音」に着地をするウォーキングラインです。(奇数小節は再びルートD音に着地)
ベースTAB譜「ルートDと5度Aのクロマチックスケール」
1-4小節目
3弦5フレット(D音)を起点とするクロマチックラインで、偶数小節の頭だけが飛び出したかのように完全5度「A音」を弾いています。つまり、お出かけ範囲は「D音の上下3フレット以内」です。

5-8小節目
2弦7フレット(A音)/4弦5フレット(A音)を起点とするクロマチックラインで、奇数小節の頭だけが飛び出してルート「D音」を弾いています。お出かけ範囲は「A音の上下3フレット以内」です。


実際のコードでの使用例

まずは「Dm7系一発ものコード」です。

次に「DM7系一発ものコード」で同じライン。


2通りのお出かけ範囲が存在しましたが、着地点の「ルート」と「完全5度」さえ綺麗に決まれば、やはりクロマチックが持つ無調感によって、各々のコードに対する不自然な響きを麻痺させます。


着地点を「長3度」と「短3度」に設定

この8小節は「D音」をルートにクロマチックを使いつつ、2と4小節目の頭で「長3度(♮3rd)F#音」6と8小節目の頭で「短3度(♭3rd)F音」に着地をするラインです。(他は再びルートD音に着地)
ベースTAB譜「ルートDと長3度F#/短3度Fのクロマチックスケール」
1-2小節目
お出かけ範囲を「D音の上下3フレット以内」とするも、結果的には「F#音の上下3フレット以内」としても解釈できるクロマチックラインになりました

3-4小節目
お出かけ範囲は「F#音の上下3フレット以内」です。

5-6小節目
お出かけ範囲を「D音の上下3フレット以内」とするも、着地先の3弦8フレット(F音)までの距離にフレット数が足りません。この様なケースの対処法としては “最初に弾いた音を再び弾く” のが簡単かつ効果的です。今回は5小節目4拍目で「D音」、6小節目4拍目で「F音」を再び弾いています。

7-8小節目
お出かけ範囲は「F音の上下3フレット以内」です。


実際のコードでの使用例

今回の着地点である「F#音/F音」にはメジャー/マイナーとしての明確な機能があるので、それに合わせて、音源の前半4小節を「DM7系」、後半4小節を「Dm7系」にしました。


以上までが「一発ものコード」におけるクロマチックの使用例でした。次からはここまでにお伝えした内容を基礎にして、今回のテーマでもある「コード進行」の中で使用する例をご紹介します。



🐢「コード進行の中」でクロマチックを使う

こちらのコード進行は、お馴染み「コンファメーション」の8小節です。
コード譜「コンファメーション8小節」
Keyは「F」ですが、クロマチックラインを構築するうえでは、あまり意識する必要はありません。こちらでも先程までと同様、着地点となる「ルートの位置」だけをしっかりと意識していきます。

最初に弾くルートを意識して「お出かけ」


ベースTAB譜「コンファメーション8小節」その1
まずコード進行をシンプルに弾きやすくするために、「コード進行の簡略化」の記事でお伝えした「Ⅱ-Ⅴ部分」を「1コード」に簡略化することから始めました。(赤色コードがベースパート)

そしてベースラインの方ですが、お出かけ範囲を各ルートから「上下2フレット以内」と決めて、尚かつ、各小節の4拍目で必ず「元のルート」を弾いています。つまり、コード同士のつながりは全く意識していません。

因みに、この様なフレーズでクロマチックを扱う場合、コードタイプが仮に「F-A7(b9)-Dm7-F7」から「Fm-AM7-DM7-FM7」に変化をしても、ベースラインとしてはそのまま機能します。


後につながるルートを意識して「お出かけ」


ベースTAB譜「コンファメーション8小節」その2
今度は先程とは逆に、コード進行の「つながり」を意識したパターンです。基本としては次に来るコードのルートから「上下3フレット以内」をお出かけ範囲としていますが、例外が2点あります。

・3小節目はフレット数が足りないので、例のごとく「弾き始めの音」を再び使用しています。
・4小節目は判断を誤り、次の小節のルート「Bb音」の2フレット上から弾き始めてしまいました。その応急処置として「同じ音(4弦8フレット)」を再び使い、足りないフレット数を補っています。

そして、こちらのクロマチックラインの場合であっても、コードタイプが「Fm-AM7-DM7-FM7」に変化をしたところで、ベースラインとしては同じくそのまま機能します。



🐢マイナスワン(カラオケ)

Dm7系一発ものコード16小節


DM7系一発ものコード16小節


コンファメーション16小節

コード譜「コンファメーション8小節」簡略化
今回ご紹介したベースラインは、全ての小節がクロマチックラインでしたが、実際の演奏では要所要所で使い分ける物かと思います。例えば困った時の「逃げ道」に使うのも良いかも知れません。



🐢最後に

今回は「ウォーキングベースで簡単にクロマチックを使う方法」をご紹介しました。
ポイントは「お出かけ範囲」をしっかりと決めて「迷子」にならないことです。

ジャズは「自由な音楽」なので、こんなのもアリ(🐜)じゃないですかね(❗❓)


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