前回の「前編」では、リフの印象を極力崩さずに「フレーズを発展」させる例をご紹介しました。今回の「後編」では、元々のリフとは別物のフレーズにて「場面転換」させる例をご紹介します。
因みに今回の場合は、厳密に言うと「リフの発展」ではなく「リフの展開」になります。
そして今回のテーマは「場面転換」ですが、それを演出するうえで一番簡単かつ効果的な方法が、その「スタッカートを止める」ことです。それはすなわち「テヌート」で弾くことになります。
こちらの音源は、前回に引き続きAm9のコード「一発」で弾いたフレージングの例です。
因みに今回の場合は、厳密に言うと「リフの発展」ではなく「リフの展開」になります。
🐢スタッカートから「テヌート」へ
前回の基本リフやそれを継承したフレーズなどは、全体として「スタッカート」で演奏されたものが中心でした。その歯切れの良さこそが、ファンクにおけるベースリフの魅力だともいえます。そして今回のテーマは「場面転換」ですが、それを演出するうえで一番簡単かつ効果的な方法が、その「スタッカートを止める」ことです。それはすなわち「テヌート」で弾くことになります。
こちらの音源は、前回に引き続きAm9のコード「一発」で弾いたフレージングの例です。
ベースラインの内容としては、音価を目一杯に伸ばして小節内の余白を埋めています。この手法はRed Hot Chili PeppersのFLEAが即興でアンサンブルを落ち着かせる場面などでも活用しています。
使用しているのは、前回と同じく「ブルーノートスケール」のみです。
またこのフレージング以外にも、単純に基本リフのノートを全て伸ばして弾くだけでも思いのほか「場面転換」に成り得ます。ハイハットのオープン/クローズの使い分けに近いかも知れません。
🐢ウォーキングベースライン
続いて、こちらの音源もAm9のコード「一発」で弾いたフレージングの例です。このベースラインは、ジャズの手法である「ウォーキングベース」で演奏されたものです。先程にご紹介したテヌートの派生とも言えますが、全体的に規則正しい音価で弾かれる特徴があります。
「ジャズ」におけるウォーキングは、基本として同じラインを繰り返さずに、毎小節ごとで異なる演奏がされます。しかし今回は「ファンク」なので、大半において同じ演奏を繰り返しています。
どちらが良いかの判断は難しいですが、同じ周期を繰り返すグルーヴにこそファンクの魅力があるとも言えるので、モードジャズというよりはロカビリーのような型にはまった演奏をしてます。
とはいえ多少の変化は欲しいものなので、今回のウォーキングラインには起承転結の「転」の部分に当たる「3小節目」に変化を加えています。使用しているのは「ブルーノートスケール」です。
🐢あえて「弾かない」選択肢
続いて、こちらの音源もAm9のコード「一発」で弾いたフレージングの例です。場面転換を演出するうえで、ノートを「あえて弾かない」のも有効な手段です。
このラインに関しては前回の「基本リフの形」を継承しており、2-3拍目を「休符のセクション」として大きく扱って、4拍目を自由な空間である「フリースペース」にして構成されています。
「あえて弾かない」を選択することでベースの仕事が減るわけですが、それによりドラムは攻めた演奏をすることが可能で、逆にベースはシンプルな演奏でアンサンブルを支える立場に回ります。
ベースが攻めるときにはドラムはシンプルに叩き、逆にドラムが攻めるときにはベースはシンプルに弾く。お互いが大変な場面を支え合うことでアンサンブルにも良いコントラストが生まれます。
🐢場面転換を使用した例
こちらの音源は、前回と今回に登場した計6つの音源を「メドレー」にしてつなげたものです。
メドレーの構成は以下の内容です
1-4小節目(0:00-):基本リフ(前編/音源①)5-8小節目(0:07-):発展リフ/4小節ごと節目(前編/音源②)
9-12小節目(0:14-):場面転換/テヌート(後編/音源①)
12-15小節目(0:22-):場面転換/あえて弾かない(後編/音源③)
16-23小節目(0:29-):発展リフ/2小節ごと節目(前編/音源③)
24-31小節目(0:44-):場面転換/ウォーキング(後編/音源②)
32-35小節目(0:59-):基本リフ(前編/音源①)
ファンク音楽では、ベースパートがアンサンブルを「もりあげたり」または「落ち着かせたり」とコントロールできます。いち演奏家の立場だけではなく、編曲家的な視点も必要かも知れません。
🐢マインスワン(カラオケ)
こちらの音源はAm9のコード「一発」を16小節間繰り返したマイナスワンです。同じリフを繰り返しつつ変化を加えてみたり、または思い切った別のフレーズを弾いて場面転換を演出したりと、コード「一発」のなかにオリジナルのストーリーを吹き込んでみてください。
🐢最後に
今回は「一発ものファンクリフを発展させる方法/後編」をご紹介しました。ベーシストのさじ加減ひとつで、アンサブルは自由自在に変化します。
ファンクは「熱い音楽」だから、こんなのもアリ(🐜)ですよね(❗❓)
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