前回の「メジャーⅡ-Ⅴ編」に引き続き、今回はその「マイナーⅡ-Ⅴ編」です。わざわざ二部編に分けていますが、基本的な概念はほぼ同じで「ルート→短7度の法則」もそのまま適用できます。
「メジャー編」と異なる点をあげると、ドリアンスケールではなく「ロクリアンスケール」を使用することくらいでありますが、後半にはマイナーKeyらしい「もう1つの方法」もご紹介します。
こちらの上下2つのラインは「Bロクリアン」のみを使用して、上のラインが「同弦/2フレット下」に着地をし、下のラインが「1弦下/3フレット上」に着地をします。
こちらの上下も「Bロクリアン」のみを使用で、2つとも「2弦上/同フレット」に着地をします。
ここからの後半は、冒頭でお伝えしたマイナーKeyらしい「もう1つの方法」をご紹介します。
上下のライン共に「ルート→完全4度の法則」で着地します。
上下のライン共に「ルート→短7度の法則」で着地します。
上下のライン共に「ルート→完全4度の法則」で着地します。
上下のライン共に「ルート→短7度の法則」で着地します。
今回は選択肢が増えたので、以下にまとめました。
①ルート→短7度の法則
B音から[ロクリアン][ロクリアン♮13th][ロクリアンbb7th]を弾いてA音に着地
②ルート→完全4度の法則
E音から[フリジアン][ハーモニックマイナーP5thビロウ][オルタードP5th]を弾いてA音に着地
③そもそもの正攻法
Bm7(b5)とE7(b9)で2つのスケールを使い分けてA音に着地
「メジャー編」と異なる点をあげると、ドリアンスケールではなく「ロクリアンスケール」を使用することくらいでありますが、後半にはマイナーKeyらしい「もう1つの方法」もご紹介します。
🐢「マイナーⅡ-Ⅴ-Ⅰ」=「メジャーⅦ-Ⅲ-Ⅵ」
こちらのコード譜は、マイナーⅡ-Ⅴ-Ⅰを「Key=Am」に置き替えたものです。
この「Key=Am」という調性は、事実上の「Key=C」でもあります。音楽用語的には「平行調」と呼びますが、要はKey=CのAm7を「Ⅵm7」から「Ⅰm7」にリナンバリングしただけの話です。
Key=Amから見たマイナー版の「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰ」は、Key=Cから見たメジャー版の「Ⅶ-Ⅲ-Ⅵ」です。
今回も結局は「全て同じスケール」
コードスケールは、Bm7(b5)が「Bロクリアン」、E7(b9)が「Eフリジアン(※)」、そして着地点のAm7が「Aエオリアン=Aマイナースケール」であり、結局は全てが「Cメジャースケール」です。
つまり前回の「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰは全て同じスケール」の概念は、今回のマイナーⅡ-Ⅴ-Ⅰ「Ⅶ-Ⅲ-Ⅵ」にもそのまま該当し、全体を「Ⅰメジャー/Ⅵマイナースケール」だけで弾き通せる理屈になります。
つまり前回の「Ⅱ-Ⅴ-Ⅰは全て同じスケール」の概念は、今回のマイナーⅡ-Ⅴ-Ⅰ「Ⅶ-Ⅲ-Ⅵ」にもそのまま該当し、全体を「Ⅰメジャー/Ⅵマイナースケール」だけで弾き通せる理屈になります。
※E7(b9)が「Eフリジアンスケール?」
これを疑問に思われた方も多いかと思います。
E7(b9)の長3度(♮3rd)に当たる「G#音」が、Eフリジアンスケールには含まれていないので。
E7(b9)の長3度(♮3rd)に当たる「G#音」が、Eフリジアンスケールには含まれていないので。
しかし、代わりに存在する短3度(b3rd)の「G音」が、E7(b9)のテンションノート「#9th」に当たるため、Ⅲ7(b9)コード上でⅢフリジアンを使用した場合でも、ハーモニー的には機能を果たします。
🐢今回も「ルート→短7度の法則」
こちらの指板表は「Bロクリアンスケール」における、ルートと短7度の位置関係です。
「赤」と「青」の位置関係も、前回のドリアンスケールと全く同じです。
①赤→同弦/2フレット下→青
②赤→2弦上/同フレット→青
③赤→1弦下/3フレット上→青
④赤→2弦下/4フレット下→青
⑤赤→3弦下/1フレット上→青
実際のウォーキングライン例を試聴
今回のⅦ-Ⅲ-Ⅵで「ルート→短7度の法則」を使用したウォーキングラインの例を、いくつかの音源でご紹介します。前回と同じく中間地点のE7(b9)の頭は、あえてルート「E音」を外しています。
①「同弦/2フレット下」「1弦下/3フレット上」に着地するパターン
こちらの上下2つのラインは「Bロクリアン」のみを使用して、上のラインが「同弦/2フレット下」に着地をし、下のラインが「1弦下/3フレット上」に着地をします。
②「2弦上/同フレット」に着地するパターン
こちらの上下も「Bロクリアン」のみを使用で、2つとも「2弦上/同フレット」に着地をします。
つまり「マイナーⅡ-Ⅴ」はこれだけでも凌げる
「Bロクリアン」と同じ構成音で成り立つ「Eフリジアン」が、E7(b9)コード上でも上手く機能していたことが確認できたかと思います。つまり「マイナーⅡ-Ⅴ-Ⅰ= メジャーⅦ-Ⅲ-Ⅵ」においても、Ⅶロクリアンスケールのみを使用した「ルート→短7度の法則」だけで充分に凌げるわけです。ここからの後半は、冒頭でお伝えしたマイナーKeyらしい「もう1つの方法」をご紹介します。
🐢E7(♭9)の長3度「G#音」を加える
Eフリジアンには含まれていない、E7(b9)の本来のコードトーンである「G#音」を意識したラインを構築します。お手軽だったBロクリアンでの「ルート→短7度の法則」に比べると、多少の手間はかかりますが、より「マイナーKey」らしい緊張感が増したサウンドを生み出せます。
メジャー編でも少し触れた「ルート→完全4度の法則」
前回「メジャー編」の終盤で、Ⅱ-Ⅴの全体をⅤミクソリディアンスケールだけで弾く手法である「ルート→完全4度の法則」についても少しだけ触れました。
Key=Cで解説すると、Ⅱ-Ⅴ進行の「Dm7-G7-CM7」において、Gミクソリディアンの「ルート音」から「完全4度」に着地をすることで、結果的に「CM7のルート音」に辿り着けるという話です。
これを先程のマイナーⅡ-Ⅴに置き替えると「Ⅶ-ⅢでⅢフリジアンスケールを弾く」という図式が成り立ちます。しかし「Bm7(b5)-E7(b9)」でEフリジアンを弾いたところで、結局はBロクリアンを弾いた場合と同じ結果となり、そこに肝心の「G#音」は含まれません。
Key=Cで解説すると、Ⅱ-Ⅴ進行の「Dm7-G7-CM7」において、Gミクソリディアンの「ルート音」から「完全4度」に着地をすることで、結果的に「CM7のルート音」に辿り着けるという話です。
これを先程のマイナーⅡ-Ⅴに置き替えると「Ⅶ-ⅢでⅢフリジアンスケールを弾く」という図式が成り立ちます。しかし「Bm7(b5)-E7(b9)」でEフリジアンを弾いたところで、結局はBロクリアンを弾いた場合と同じ結果となり、そこに肝心の「G#音」は含まれません。
この機会にスケールの構成音を変える
出発点をBm7(b5)のルート「B音」からE7(b9)のルート「E音」に変更するのであれば、この機会にスケールの構成音も変えて「G#音」を加えてしまいましょう。
因みにこの「G#音」は着地点である「A音」の半音下のノートです。つまり「Ⅲ7(b9)」の長3度音の位置する場所は、何があろうと「Ⅵm7」のルート音の常に「半音下」になるわけです。
🐢長3度「G#音」を含むスケールを使用する
それでは「Eフリジアン」を元にして、そこに「G#音」が加わったスケールを2種類、その各々を「ルート→短7度の法則」で使用するべく「B音」からスタートさせた異名同音スケールを2種類、合計で4パターンをご紹介します。
①まずはシンプルに「ハーモニックマイナーP5thビロウ」
Eフリジアンの短3度「G音」をシンプルに半音上げて、それを長3度「G#音」に変化させたものが「EハーモニックマイナーP5thビロウスケール」になります。
このスケールの「出発点」と「着地点」の位置関係は以下の通りです。
この位置関係こそが「ルート→完全4度の法則」です。
①緑→1弦上/同フレット→青
②緑→1弦下/2フレット下→青
③緑→2弦下/3フレット上→青(※3弦12フレットに青があります)
新たに出現した「G#音」が、着地点「青」の半音下に位置することも確認できます。
新たに出現した「G#音」が、着地点「青」の半音下に位置することも確認できます。
実際のウォーキングラインの例
上下のライン共に「ルート→完全4度の法則」で着地します。
②それをⅦから弾くと「ロクリアン♮13th」
先程の「EハーモニックマイナーP5thビロウ」をBm7(b5)の「B音」から見た際には、新たな存在である「G#音」は長6度(♮13th)に当たるので「Bロクリアン♮13thスケール」になります。因みに、失われた「G音」は短6度(b13th)なので、Bm7(b5)のコードトーンは1つも失われません。
このスケールの「出発点」と「着地点」の位置関係は以下の通りです。
「ルート→短7度の法則」です。そして「G#音」は常に着地点「青」の半音下に位置します。
実際のウォーキングラインの例
上下のライン共に「ルート→短7度の法則」で着地します。
③次の選択肢「オルタードP5th」
耳慣れないスケール名かと思いますが、今度はEフリジアンの完全4度(P4th)「A音」を半音下げて「G#音」に変化させると「EオルタードP5thスケール」に変わります。これは理論書などには存在しないスケールで、名称も当サイトオリジナルのものです。
E7(b9)の長3度「G#音」を取得しつつ、#9thの短3度「G音」も失われない特徴があり、逆に失われた「A音」は、Am7から見たルート音なので「着地点」に当たります。
このスケールの「出発点」と「着地点」の位置関係は以下の通りです。
このスケールに完全4度音は存在しませんが、着地点はこれまでと変わらず「完全4度」の位置になります。つまりこの場合でも「ルート→完全4度の法則」のままです。
そして「G#音」も相変わらず、着地点「青」の半音下に位置します。
実際のウォーキングラインの例
上下のライン共に「ルート→完全4度の法則」で着地します。
④それをⅦから弾くと「ロクリアンbb7th」
「EオルタードP5th」をBm7(b5)の「B音」から見た際には、短7度(b7th)であった「A音」が半音下がり、減7度(bb7th)「Ab音=G#音」に変化することで「Bロクリアンbb7thスケール」になります。Bm7(b5)のコードトーン短7度(b7th)が失われて、結果として「Bdim7」に近い響きに変わります。
このスケールの「出発点」と「着地点」の位置関係は以下の通りです。
こちらでも短7度音は存在しませんが、着地点は「短7度」の位置なので「ルート→短7度の法則」になります。そしてしつこいですが「G#音」は着地点「青」の半音下です。
実際のウォーキングラインの例
上下のライン共に「ルート→短7度の法則」で着地します。
⑤その他のスケール
他に考えられる選択肢として「(普通の)オルタードスケール」や「コンディミ」が存在しますが、これらは扱いづらいスケールなので、今回は省略します。
🐢マイナスワン(カラオケ)
この音源は「Bm7(b5)-E7(b9)-Am7」の進行を4回リピートしたマイナスワンです。
今回は選択肢が増えたので、以下にまとめました。
①ルート→短7度の法則
B音から[ロクリアン][ロクリアン♮13th][ロクリアンbb7th]を弾いてA音に着地
②ルート→完全4度の法則
E音から[フリジアン][ハーモニックマイナーP5thビロウ][オルタードP5th]を弾いてA音に着地
③そもそもの正攻法
Bm7(b5)とE7(b9)で2つのスケールを使い分けてA音に着地
🐢最後に
前回の「メジャーⅡ-Ⅴ編」に引き続き、今回は「マイナーⅡ-Ⅴ = Ⅶ-Ⅲ」でウォーキングベースを弾く簡単な手法をご紹介しました。
そして後半に登場した「オルタードP5thスケール」はとても興味深いスケールなので、それを使用したアドリブソロの方法を「次回」にご紹介します。
ジャズは「自由な音楽」なので、こんなのもアリ(🐜)じゃないですかね(❗❓)
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